新入社員研修の実施を外部の教育機関に委託する場合、当然費用が発生します。企業としては、新入社員の未来への投資という意味である程度の負担は覚悟しているものの、少しでも費用を削減したいというのが本音ではないでしょうか。ここではそんな企業向けに、新入社員研修で活用できる助成金の情報をお伝えします。
助成金のメリット・デメリット
助成金のメリット
- 社員研修の費用負担を軽減できる。
- 社員のスキルアップを図ることができる。
助成金のデメリット
- 申請手続きに手間がかかる。
- 現実的に実施が難しい訓練や制度を計画してしまうと申請内容との相違が発生してしまう。
- 支給申請から受給までに時間がかかる可能性がある。
社員研修で活用できる助成金制度(例)
人材開発支援助成金
雇用保険被保険者に対して、職務に関連した専門的な知識・技能の習得を目的として、計画に沿って訓練を実施した場合、訓練中の賃金と訓練にかかった経費の一部を助成する制度。助成金の財源は事業主が国に納めている雇用保険の一部が利用されています。
人材開発支援助成金のコース
中小企業事業主の範囲
中小企業事業主に該当するかどうかの判断は、「主たる事業」ごとに、「A 資本金の額または出資の総額」または「B 企業全体で常時雇用する労働者の数」によって行い、A、Bどちらかの基準に該当すれば、中小企業事業主となります。
ただし、以下の例のような資本金等を持たない事業主は「B 企業全体で常時雇用する労働者の数」によって判断します。
(例)個人、一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人、労働組合、協同組合、協業組合
また、「主たる事業」は、総務省の日本標準産業分類の「業種区分」に基づきます。
主たる事業 | A 資本金の額または出資の総額 | B 企業全体で常時雇用する労働者の数 |
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小売業(飲食店を含む) | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 一億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
助成額・助成率
詳細は厚生労働省の以下パンフレットのP.2をご参照ください。
活用事例(1)
企業 | T社様(福岡本社、不動産会社) | |
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お悩み | ・新入社員に営業の基本を学ばせた上で配属したい。 ・自社で教えるのは大変。 ・費用負担をできるだけ抑えたい。 | |
提供サービス | 新入社員営業人材育成コース23日間(他社と合同参加) | |
対象 | 4月に入社した新入社員(営業職)12名 | |
助成金 | 人材開発支援助成金(特定訓練コース・認定実習併用職業訓練) |
人材開発支援助成金 (特定訓練コース・認定実習併用職業訓練)
特定訓練コース 認定実習併用職業訓練
厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練を実施する場合に助成が受けられる訓練メニューです。
事前に厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。
詳細は、人材開発支援助成金のパンフレットのP.42を参照してください。
訓練対象者 | 次の(1)~(3)のいずれかに該当する15歳以上45歳未満の労働者であって、申請事業主または申請事業主団体等の構成事業主における被保険者※1 (1) 新たに雇い入れた者 (雇い入れ日から訓練開始日までが2週間以内である者に限る) (2) 大臣認定の申請前に既に雇用されている短時間等労働者※2であって、引き続 き、同一の事業主において、通常の労働者に転換した者 通常の労働者への転換日から訓練開始日までが2週間以内である者に限る) (3) 大臣認定の申請前に既に雇用する通常の労働者※3 (ただし、 学校教育法に規定する大学、 大学院または短期大学と連携して実施されるOFF-JTを訓練実施期間を通じて訓練カリキュラムに組み込んだ認定実習併用職業訓練に限る) |
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基本要件 ★要件の詳細は、 大臣認定の手続きで ご確認ください。 |
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助成額・助成率
※コースごとの助成額・助成率は次の表のとおりとなります。()内は中小企業以外の助成額・助成率です。
支給対象となる訓練 | OJT実施助成 | 賃金助成 (1人1時間当たり) | OFF-JT助成 (1人1時間当たり) | ||||
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通常 | 生産性要件を 満たす場合 | 通常 | 生産性要件を 満たす場合 | 通常 | 生産性要件を 満たす場合 | ||
特定訓練コース | OFF-JT | 45%(30%) | 60%(45%) | 760円(380円) | 960円(480円) | – | – |
OJT | – | – | – | – | 665円(380円) | 840円(480円) | |
一般訓練コース | OFF-JT | 30% | 45% | 380円 | 480円 | – | – |
活用事例(2)
企業 | Ⅰ社様(東京本社、広告効果測定システム・駐輪場シェアサービス等) |
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お悩み | ・毎年4月、9月に新入社員が入社するが、入社の度に社内で新人研修を行うと指導する上司の時間が取られてしまう。 ・費用負担をできるだけ抑えたい。 |
提供サービス | ①新入社員営業人材育成コース23日間(他社と合同参加) ②営業力向上研修コース3日間(9月) |
対象 | ①4月に入社した新入社員(営業職)4名 ②9月に入社した新入社員(営業職)3名 |
助成金 | ①人材開発支援助成金(特定訓練コース・認定実習併用職業訓練) ②人材開発支援助成金(特定訓練コース・若年人材育成訓練) |
助成額・助成率
※コースごとの助成額・助成率は次の表のとおりとなります。()内は中小企業以外の助成額・助成率です。
支給対象となる訓練 | OJT実施助成 | 賃金助成 (1人1時間当たり) | OFF-JT助成 (1人1時間当たり) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
通常 | 生産性要件を 満たす場合 | 通常 | 生産性要件を 満たす場合 | 通常 | 生産性要件を 満たす場合 | ||
特定訓練コース | OFF-JT | 45%(30%) | 60%(45%) | 760円(380円) | 960円(480円) | – | – |
OJT | – | – | – | – | 665円(380円) | 840円(480円) | |
一般訓練コース | OFF-JT | 30% | 45% | 380円 | 480円 | – | – |
申請手続きの流れ
ご留意事項
- 人材開発支援助成金のパンフレット・申請様式は、厚生労働省のホームページよりダウンロード可能です。
- 助成金制度は随時改正されますので最新情報をご確認ください。
- 助成金制度の詳細については、各都道府県の労働局に直接お問合せされることをお勧めいたします。
- 年末年始は窓口が混み合いますので早めの問い合わせをお勧めいたします。